多項式の「高さ」とペル数

平賀 譲 さん

  • 公開日時: 2010/06/23 21:46
  • 閲覧数: 546
  • コメント数: 0
  • カテゴリ: 研究・考察

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\\ \end{itemize} 次ページ以降では $P(h)$ の答を示し(つまり証明問題の形に直し)、 さらにいくつかの部分問題に分けたものをヒントとして示します。 \newpage 結論から言えば、$P(h)$ は次の漸化式を満たします。 \EQ \left\{ \begin{array}{l} P(1) = 2,\ \ P(2) = 4 \\ P(h) = 2 P(h-1) + P(h-2)\hspace*{0.8cm}(h \geq 3) \end{array} \right. \lno{2} \EN $P(0)=0$ と定義すれば、1行目は「$P(0)=0,\ \ P(1) = 2$」に置き換えることができます。 \\ それはともかくとして、上を証明問題の形にすれば次の問題 2 になります。 \PROB{2}{$P(h)$ は漸化式 (2) を満たすことを示せ。} 要するに (2) について、組合せ論的な説明・意味づけができればいいわけですが、 これでもまだかなり難しいでしょう。 (2) から直接、帰納的に考えるのが自然でしょうが、 一般項も求めておきましょう。 これは通常の大学入試レベルの問題ですね。 \PROBW{3}{$\DS P(h) = \frac{(1+\sqrt{2})^h - (1-\sqrt{2})^h}{\sqrt{2}}\ \ \ (h \geq 1)$ を示せ。 \lno{3}} $2 < 1 + \sqrt{2} < 3$、また $(1-\sqrt{2})^h\RA 0\ \ (h\RA\infty)$ ですから、 \#938 のコメント 4 で述べた「$2^h$ と $3^h$ の間」はここに反映されています。 \\ この $P(h)$ はよく知られた数列らしく、$P(0)=1$ としたものは ``On-line Encyclopedia of Integer Sequences'' に \begin{quote} \verb+http://www.research.att.com/~njas/sequences/A052542+ \end{quote} として掲載されています。 $P(0)=0$ としたほうがさらよく知られていて、全体を半分にした: \EQ p_0 = 0,\ \ p_1 = 1,\ \ p_n = 2 p_{n-1} + p_{n-2} \lno{4} \EN は「ペル数 (Pell number)」と言うそうです。 $P(h) = 2 p_h$、つまり $p_h$ は $P(h)$ の半分であることに注意。 したがって多項式全体の符号を反転したものは同一と見なせば、 $p_h$ はその個数、つまり高さ $h$ で最高次係数が正であるような多項式の個数になります (この場合、$f(x)=0$ は自動的に除外されます)。 \begin{quote} \verb+http://www.research.att.com/~njas/sequences/A000129+ \\ \verb+http://ja.wikipedia.org/wiki/ペル数+ \\ \verb+http://en.wikipedia.org/wiki/Pell_number+ \\ \verb+http://mathworld.wolfram.com/PellNumber.html+ \end{quote} 上記のように、問題 2 ではまだ難しいということであれば、さらに分解して考えることになります。 それは次ページにて。 \newpage 高さ $h$ の多項式を考える際に、1ページの予備問題では次数による分類を考えましたが、 分類する上では、次数ではなく、(係数が $0$ でない項の)項数で考えるほうが扱いやすいでしょう。 項数が $k$ の多項式の場合、予備問題のように係数がすべて正の多項式 $1$ 個ごとに、 各係数について正負を組み合わせた合計 $2^k$ 個の多項式が対応することになります。 それを踏まえて結論を言えば、$P(h)$ について次の等式が成り立ちます。 \EQ P(h) = \sum_{k=1}^{k\leq \frac{h+1}{2}} \comb{h}{2k-1} \cdot 2^k \hsp\hspace*{0.3cm} = \comb{h}{1}\cdot 2 + \comb{h}{3}\cdot 2^2 + \comb{h}{5}\cdot 2^3 + \cdots + \left\{\begin{array}{l@{\hspace*{0.5cm}}l} \comb{h}{h}\cdot 2^{(h+1)/2} & (h\ は奇数) \\ \comb{h}{h-1}\cdot 2^{h/2} & (h\ は偶数) \\ \end{array} \right. \lno{5} \EN 例えば: \EQ P(4) = \comb{4}{1}\cdot 2 + \comb{4}{3} \cdot 2^2 = 24 \\ P(5) = \comb{5}{1}\cdot 2 + \comb{5}{3} \cdot 2^2 + \comb{5}{5} \cdot 2^3 = 58 \EN (5) で $k$ は項数を表しますから、 高さ $h$、項数 $k$ で、それらの係数はすべて正の多項式の個数が $\comb{h}{2k-1}$ であることを示せば (5) が証明できたことになります。 これを問題としましょう。 \PROB{4}{ 式 (5) を満たす $P(h)$ は式 (2)(及び (3))を満たすことを示せ。 \hsp {\bf 問題 5}: 高さ $h$、項数 $k$ で係数がすべて正の多項式は $\comb{h}{2k-1}$ 個あることを示せ。 \hsp {\bf 問題 6}: それを用いて式 (5)、さらには式 (2), (3) が元の問題の解であることを示せ。 } \noindent なお (5) と予備問題とを照らし合わせると、派生的に次のお馴染みの公式が得られます。 \EQ 2^{h-1} = \sum_{k=1}^{k\leq \frac{h+1}{2}} \comb{h}{2k-1} = \comb{h}{1} + \comb{h}{3} + \cdots + \left\{\begin{array}{l@{\hspace*{0.5cm}}l} \comb{h}{h} & (h\ は奇数) \\ \comb{h}{h-1} & (h\ は偶数) \\ \end{array}\right. \\ \EN 問題 5 もまだこのままでは難しいかもしれません。 そこで次の等式を示してください。 \PROBW{7}{$n \geq k \geq 0$ のとき、次の等式を示せ。 \EQ \sum_{m=k}^{n} \comb{m}{k} \cdot\comb{n+k-m}{k} \ =\ \comb{k}{k} \cdot\comb{n}{k} + \comb{k+1}{k}\cdot\comb{n-1}{k} + \cdots + \comb{n}{k}\cdot\comb{k}{k} \hsp\hspace*{2.7cm} = \comb{n+k+1}{2k+1} \lno{6} \EN} これをうまく活用し、意味づけができれば (5) の証明に使えます。 ただし係数などは適当に付け替える必要があります (まず $k$ は $k-1$ で置き換えたほうがいいでしょう)。 私の最初の解もこの道筋に沿ったものでした。 \\ (この式 (6) は「ファンデルモンドの等式」なるものと関係があるようです。)